年末が近づくと、「ふるさと納税」を検討される方が増えてきます。実質2,000円の負担で様々な返礼品が受け取れ、さらに税金の控除も受けられる、非常に魅力的な制度です。
しかし、その手軽さゆえに「知らなかった」では済まない落とし穴も存在します。制度のメリットを最大限に活かすため、税理士の視点から、特にご注意いただきたい3つのポイントを解説します。
1. 「控除限度額」を超えていませんか?
ふるさと納税が「節税」になるのは、寄付した金額(から2,000円を引いた額)が、翌年の住民税や所得税から控除(差し引かれる)されるためです。
しかし、この控除額には年収や家族構成、他の控除によって決まる「限度額」があります。
- 落とし穴: もし限度額を超えて寄付をしてしまうと、その超過分は純粋な「寄付」となり、税金の控除は受けられません。
- 特に注意が必要な方: 医療費控除や住宅ローン控除(1年目)を申請する方、年の途中で収入が変動した方、iDeCoに加入している方など。
シミュレーションサイトも便利ですが、あくまで「目安」です。ご自身の正確な限度額が不安な方は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。
2. 「ワンストップ特例」を正しく使えていますか?
確定申告が不要な給与所得者の方にとって、「ワンストップ特例制度」は非常に便利な仕組みです。しかし、この特例には利用条件があります。
- 落とし穴: 以下のケースでは、ワンストップ特例は利用できず、ご自身で確定申告を行う必要があります。
1. 寄付した自治体が「6か所以上」になった場合
2. 医療費控除などで、元々確定申告が必要な場合
3. 申請書(翌年1月10日必着)の提出を忘れた、または不備があった場合
「特例を使ったつもりが、条件から外れていた」というケースは少なくありません。申請が漏れると税金の控除が受けられませんので、十分ご注意ください。
3. 寄付の「名義」はどなたになっていますか?
これは非常にシンプルですが、最も重大なミスの一つです。ふるさと納税の税金控除は、「実際に税金を納めている人(納税者)」でなければ受けられません。
- 落とし穴: 税金の控除は、以下の3つの名義がすべて一致している必要があります。
1. 寄付の申込者
2. 支払い(クレジットカード等)の名義人
3. 控除を受ける納税者(住民票の名義人) - よくあるミス: 納税者であるご主人のために、奥様が「奥様名義のクレジットカード」で決済してしまった。
この場合、名義が異なるため、ご主人の税金控除は認められません。必ず、控除を受けるご本人の名義で申込み・決済を行ってください。
まとめ
ふるさと納税は、ルールを正しく理解して活用すれば、家計にとっても地域にとってもメリットの大きい素晴らしい制度です。年末は駆け込みでミスが増えやすくなります。ご不明な点がございましたら、お早めに税理士法人エルビーエーまでご相談ください。
